大きな病院がいいの?

先生、お疲れ様でした。
今日もまた治療の続きをよろしくお願いします。

はい、佐々木さん、お疲れ様でした。
根の治療の3回目だね。
今日はラバーダムをして、薬をビタペックスに交換するよ。
そうしたら最後にレントゲンを撮って今日は終わり。
2週間くらい経過をみて、咬んでも痛くなくなっていたら、次回は根充して根の治療が終われるかな。

最近はこの歯で咬んでもあまり痛くなくなってきました。

それは良かった。
でも今はしっかり咬める状態になってないからね。
ところで、前から気になっていたのだけど、結構アゴがガクガクするよね。

はい、昔アゴが外れそうになったことがあって。それからだと思うのですが、クチを開けるときにアゴがカクって鳴るようになりました。

そっか。
冠をかぶせかえる前にアゴの状態や咬み合わせもキチンと調べておいた方が良いよ。

歯並びは気になっていました。
咬み合わせですね、わかりました。考えてみます。

じゃあ、始めようか。

よろしくお願いします。
------- 治療終了 -------

よし、今日はこれで終わり。
それとこの前は確か、規模の大きな病院が安心か?という話で終わったよね。

はい。
医療法人○○会とかって良く聞いたり見かけたりしますが、実際のところはよくわからないです。
でも、私たち患者側からするとなんか普通の歯科医院よりしっかりしているのかなと感じがします。

そうかもしれないね。
歯科医院の経営形態は、主に個人事業主か医療法人。
簡単に言うと、個人経営か会社経営かという違いだね。
医療法人にすると、複数の医院を経営することができる。

チェーン店みたいな感じですか?

そうだね。
歯科医が複数在籍する個人経営の歯医者もあるし、逆に歯科医は一人しかいなくても医療法人の歯科医院もあるよ。

歯医者の数は関係ないのですか!?

そう。勤務している歯科医が多いか少ないかは関係ない。
会社経営にすると、経営上のコストは増える。
だから、それを上回るメリットがないと、なかなか医療法人化はしないね。

メリットって、例えばどんなものがあるのですか?

例えば、社会的信用もその一つかな。
佐々木さんが感じた安心感もその1つだね。
それからさっき言った分院展開。
複数の歯科医院を経営するには医療法人でないとできないから。

それと法人化することの一番多い理由は、節税かな。
売り上げが多くなると、支払う税金も増えるけど、法人税で支払った方が安く済むようになる。
勤務する歯科医が増えれば当然売り上げも増えるから、勤務医が多いところは必然的に医療法人化しているところが多いね。

医療法人が経営する歯科医院を患者が選ぶメリットとして、すぐ診てもらえることがあるね。
何人かの勤務医がいるから、手の空いている歯科医が対応できる場合が多い。

確かにそうですね。

それとチェーン店ならではの安心感。
ファミレスってどこの店舗でも安定した食事が味わえるでしょ。
それってすごいことだと思うよ。

それに規模が大きく売り上げの多い方が、設備投資に資金を回せるから、最新の機器を導入しやすいね。

じゃあ、やっぱり大きな医院の方がいいのかな。

一概にそうとも言えないかな。
歯科大学を卒業すると、たいてい勤務医として経験を積んだ後で開業する場合が多い。
就職先を探す時、最新の機器を使ってみたいし、他の歯科医にもいろいろ聞けるようなところを探すね。
何しろ歯科大を卒業しても治療なんかまともにできないから、経験をどこかで積むしかない。

さっきも言ったけど、歯科の場合は、最終的には自分の医院を開業することがほとんど。
だから歯科医がたくさんいても、開業前の経験の浅い歯科医ばかりだったりすることもあるので、安心とは言えない。
それに、いずれ辞めるので、治療に対する責任感が開業医とは違う。

院長だから辞めないで、ずっとこの先生に診てもらえると患者さんは思うよね。

はい。

でも院長先生が開業するので辞めてしまえば、担当医が変わることは、よくある話。院長だからずっと診てもらえると思ってたのに―、みたいな。
チェーン店の院長は所詮、勤務医。やとわれ院長だからなんだ。

だから、同じ先生にずっと自分の歯を診てほしいという思いが強い人、かかりつけ医を求めている人には、あまりお勧めできないかな。
ちなみに医療法人の経営者は理事長というよ。
理事長であって、院長であれば、その先生が開業して辞めることはないけど。

それから、担当医の出身地を聞いておくのもいいね。

えー、何でですか?

出身地の近くで開業することが多いからね。
それに親が歯科医で、修行を積んだら帰って家を継ぐということも多いし。
出身地がその病院の近くなら、先生が開業で辞めても通えるかもしれないでしょ。

そっかぁ。なるほどですね。
私はかかりつけ医を見つけたので、もう大丈夫ですけど。

ハハハ、それは良かった。
じゃあ、お疲れ様でした。
また、来週!